ブライダル業界とは
ブライダルの仕事の責任
♦結婚式とは人生2大イベントの1つ
人が生まれて死ぬまでの間に、他人ではなく自分自身のための大きなイベントは2つ。その1つが結婚式、そしてもう1つが葬儀である。日本人の古くからの結婚式観には、「お祝い事は盛大に」「慎ましくその儀式を執り行うもの」など特有な考え方がある。今でこそこれらの認識を持つ人たちは少ないものの、"結婚式は人生最大のお祝い行事であり、大金が必要とされる"という認識が根底にある。
♦結婚式に求められるのはホスピタリティ(おもてなし)
結婚式を挙げる理由として、「親や親族に感謝の気持ちを伝えるため」や「ゲストに喜んで頂くため」という目的のカップルが多くなっている。大切な人へ感謝の気持ちを伝える場として、挙式や披露宴を考えていることもあり、ハード(会場)とソフト(サービス)の両面において会場に求めるホスピタリティ度は強くなっている。今やオリジナルウェディングやオンリーワンウェディングという言葉から連想される、新郎新婦メインの披露宴作りや提案・演出では、顧客を取り込めない時代になっている。
♦数時間で大金を消費する市場
結婚式当日は挙式と披露宴の両方が行われる。挙式と披露宴のために数百万円という高額な金額が数時間(平均4時間)で消費される。これも他業界では類を見ない特徴である。人生最大のお祝い行事という概念と合わせて、高額な金額が消費されているため、婚礼施設で働くスタッフは多くの重圧の中でお客様におもてなしをしなければならない。ひと組ひと組全く異なる背景と事情を抱えながら、当日まで1年もの長い時間かけて結婚式を迎えている。お客様の想いを肝に銘じて、全てのお客様に対して全力で対応することを忘れてはならない。
ブライダル業界で仕事をしている労働者の平均年齢は35.3歳(2018年現在)。ブライダル業界は女性の憧れの職業のひとつとして存在しているため、若い女性がメインの労働者となっており、他の業界と比較すると平均年齢が非常に若い。
♦結婚式はリピートオーダーのないイベント
結婚式を検討している新郎新婦にとって、言うまでもなく結婚式は一世一代のイベントである。
リハーサルが行えるわけでもなく、一度限りの本番が待ち構えているのであり、結婚式当日は良くなかったから今度は別の会場で行おうというものでもない。それだけに顧客は「楽しみ」と「不安」両方の気持ちで準備に取り掛かっているため、些細なことでもクレームが起きてしまいやすい環境にあるという認識が必要である。
新郎新婦とプランナーの想い
♦新郎新婦が抱く、結婚式への悩み
お客様の声
私たちは北海道と熊本が実家で、お互いが上京した際に出会いました。5年付き合って結婚に至りましたが、北海道・熊本・東京のどこで結婚式を挙げたら良いか悩んでいました。そんな時プランナーさんからの助言で、東京で行う「会食」に両親を招待し、来られなかった親族とは各実家で「フォトプラン」の思い出を残すことにしました。足の悪い祖父母にはとても喜ばれ、私たちも大満足しています!
ウエディングプランナー
ご高齢で長距離移動が難しいご親族様ともご結婚式の思い出を残したいと伺い、思いきって3か所で開催するウェディングをご提案しました!ご両親様には東京観光のプレゼントをつけた「ご会食」をセッティング。各地方ではご親族様との「フォトウェディング」をオススメしました。フォトウェディングは衣装レンタルに予算がかかるため、オーダーメイドドレスの製作を提案したところ、「親族との思い出も残せ、自分たちの手元には大切なドレスが残って本当に嬉しい!」とのお言葉を頂けました。それ以来、おふたりからは節目にお手紙を頂いており、私の励みとなっています。
♦結婚式は自分達だけのものじゃなかった!
お客様の声
私はコンプレックスがいっぱいで、結婚式でのドレス姿はもとより「主役」感があるのをすごく気にしてました。でもゲストの皆さんからの祝福の言葉や「かわいい」や「キレイ」と言葉を頂けた事で自信が持て、結婚式をおもいっきり楽しむ事が出来ました。結婚式を挙げる前は“自分が主役になる=結婚式”だと思っていましたが、ゲストの方そして、日頃照れくさくて言えない家族に“感謝の気持ち”を伝えられる場なんだと気づけ、結婚式を挙げてほんとに良かったと思いました。
ウエディングプランナー
結婚式は、新郎新婦様だけではなくご両親にとっても特別な日です。更にご親族やご友人にとってもかけがえのない1日のはずです。そのため何度も何度も打ち合わせを重ね、どんな打ち合わせでも全力で向き合わなければいけません。時にはお二人の希望を引き出してあげることも求められます。気力も体力もたくさん使いますが、それが結婚式の感動につながり、新郎新婦様から「ありがとう。結婚式をしてよかった」と言って頂いた日には、大変だった日々もすべてクリアになってしまいます。この非日常的空間で、新郎新婦様やゲストの方々の笑顔に囲まれながら一生に一度の結婚式に携わることができるブライダルのお仕事はどんなに高い給料をもらうことよりも素晴らしいことだと私は思っています。
結婚式の準備
結婚式を支えるスタッフ
結婚式は、ひとりではできない。応対の中心となるウエディングプランナー以外にも、当日には、想像以上に多くのスタッフの力を結集して、たった1組のカップルのためにサービスを尽くしている。自分が担当する職種はどのスタッフとの関わりや連携が必要なのか理解しておく必要がある。
ウェディングプランナー
カップルのアドバイザーとなり、思い出に残る結婚式になるようプロデュースをする。結婚式に関するすべての提案、相談の窓口となる、頼りになる相棒の役割。
受付・フロント
見学の来館時から結婚式当日まで、新郎新婦やゲストの案内を担う。結婚式当日は受付係のサポート役としても活躍する。ゲストで誰が揃っていないのかを常に把握し、会場へ伝える重要な役目。
ドレスコーディネーター
新郎新婦にぴったりの一着を選ぶプロフェッショナル。衣装に合わせて小物やヘアメイクなどのトータルコーディネートも行う。会場によって、結婚式当日の着付けを担当する場合もある。
フラワーコーディネーター
新婦のブーケや、挙式式場・披露宴会場の装花を担当する。打ち合わせでは花と共にテーブルクロスやナフキンのコーディネートも担当することもある。花の鮮度を保つために直前までケアを怠らない。
シェフ・調理
ゲストを楽しませるおもてなしメニューを考案し、ふるまう。新郎新婦が考案したオリジナルメニューの相談も対応したり、披露宴会場で料理の説明や調理のパフォーマンスを行ったり、会場によって担当業務は異なる。
美容スタッフ
衣装着付やメイクをこなす。花嫁が常に最高に美しくなれるよう、普段のメイクより何倍も時間と手間をかける。会場によっては他の会社へ委託してる場合もある。また、列席者の美容着付けも担っている場合もある。
セレモニースタッフ
挙式の進行を担当する。牧師や神父への連絡や音楽の手配、当日のスポットライトやゲストの誘導まで幅広い業務がある。本番の進行は失敗が許されない、責任の大きいポジション。
サービススタッフ
披露宴の配膳から演出までの全般を担当する。新郎新婦やゲストに最も近い位置でサポートできる、やりがいのあるポジション。そのため失敗は許されない責任感も背負った役目といえる。
アテンダー(介添人)
結婚式当日、衣装の乱れを直すなど、新婦につきっきりであらゆる身の回りの世話をする役目。ちょっとした新婦の変化も見逃さずにサポートにあたるため、新婦からの信頼も厚い。
カメラマン
結婚式当日の写真や映像はもちろん、前撮りも担当する。新郎新婦の手元に長く残る思い出のワンシーンを捉えるために、様々な角度から撮影を行う。会場によっては他の会社に任せていることもある。
音響・照明
披露宴における演出や進行に欠かせない音響と照明を担当する。司会者と共に会場の雰囲気づくりを担う重要な役目。会場によって、スクリーンを使った映像の投影も行う。
司式者・司会者
人前式などの挙式を進行する司式者と、披露宴の進行を担当する司会者。1人で挙式から披露宴まで2役をこなす場合もある。男性と女性は声の雰囲気に違いが出るため、パーティの目的によっても人選が変わる。
カウンタースタッフ
新郎新婦が結婚式場を探す際に相談役のスタッフ。各地域に相談カウンターがあり、担当のエリアや会場の価格帯、雰囲気や付帯設備まで熟知している。新郎新婦の代わりに会場へ見学をセッティングするほか、会場へおふたりの要望も伝えるため、見学もスムーズに行える。新規接客を担当するプランナーとの関りが大きい。
ブライダルの職種
ウエディングプランナー
ウェディングに関するすべての提案、相談の窓口となる新郎新婦の「相棒」
結婚を控えるカップルの結婚式をプロデュースする仕事。結婚式を行うとなれば、予算や日取り、衣装、招待状の手配など、決めるべきことがたくさんあるが、お客様の意見や要望を伺いながらそれらに対して最善の案を提案し、トータルでサポートしていく。
ウェディングプランナーの業務4分類
打ち合わせ業務
結婚式の打ち合わせ
結婚式までに必要な全ての内容の打ち合わせを担当。婚礼日に近づいたら料理や演出グッズの発注も行う。
施行準備
結婚式本番のことを施行という。各部署との綿密な打ち合わせを経て、当日の施行を迎える。
紙面媒体打ち合わせ
大手結婚雑誌やネットに掲載する会場情報やフェア企画の打ち合わせ。しっかり金額をかけて集客を図る。
営業
新規接客
新規のお客様へ館内案内や見積りを説明し、成約へ導く。成約検討中のお客様へのアプローチを行う。
商品の提案
新郎新婦の理想の結婚式を叶える為の商品の提案を行い、当日のイメージを鮮明化させる。
エージェントへの営業
各所にある結婚式場相談カウンターをエージェントと呼ぶ。自社の会場をより多く紹介してもらえるよう、日々あいさつ回りやトピックス制作を怠らない。
事務
資料請求
来館前の新郎新婦に、会場を知ってもらうためにパンフレットや手紙、特典の情報をお送りする。資料請求を通しておふたりに来館を促せるような工夫が必要となる。
企業への共有情報の作成
結婚式に必要なアイテムの発注や見積書、請求書を作成する。各部署やパートナーの企業への共有情報も作成する。
企画事務
ブライダルフェアの打ち合わせ
新規のお客様に向けて行う、ブライダルフェアのイベントや装飾を企画・提案する。基本的に土日で行われることが多い。
成約済みのお客様に向けたフェア企画
演出グッズや映像関係の商品など、実際に見て体感頂けるフェアを企画し、実行する。フェア後にはアンケートの集計、次回に向けた改善点をピックアップする。
施行済みのお客様に向けたフェア企画
結婚式を終えたお客様向けのフェア企画。10年越しに記念試食を企画したり、新たなお客様を紹介してもらえるよう、PRをする。
ウェディングプランナーは一般的に「営業職」に分類される。新規接客担当においては「成約件数÷新規接客数=成約率」で割り出した成約率を評価基準とし、成約率は40%を目標とすることが多い。一方、打ち合わせ担当においては「売上高の総額」や「施行件数」、「1施行あたりの平均金額」「ゲスト1名あたりの平均金額」などを基に総合的に評価されることが多い。ノルマ達成ばかりを追いかけるのではなく、1組でも多くのお客様に喜んでもらえるよう行う仕事が、ノルマ達成に繋がるのである。
結婚式においてのプランナーの仕事内容はほぼ一緒だが、会場によって「一顧客一担当制」と「分業制」の違いがある。それぞれにメリット、デメリットがありそれを理解した上で業務を行う必要がある。新郎新婦の成約時にも結婚式までの打ち合わせがどのように進んでいくのか、しっかりと伝え、理解して頂く必要がある。
一顧客一担当制
一顧客一担当制とは新規接客から結婚式当日までを一貫して1人のスタッフが対応するプランナーのこと。新規接客の技術から結婚式の準備における専門知識までを幅広く網羅する必要がある。
- 結婚式のイメージのすり合わせがしやすい
1人のプランナーが最初から最後まで担当する為、お客様とコミュニケーションを取れる時間が多く、イメージのすり合わせがしやすい。 - プランナーへの信頼度が生まれやすい
契約時から同じスタッフに任せられる為、信頼感が大きい。 - 情報の一貫把握ができる
1人が担当するため、スタッフ同士の共有のし忘れが少ない。結婚式のイメージのすり合わせがしやすい
- 一人前になるのに時間がかかる
接客から結婚式の専門的な知識が必要になる。得意分野以外も全て担当しなくてはならないため、プランナーとしてデビューするために長い時間を有する。 - 代理担当者を立てづらい
何らかの理由によりプランナーが不在の際、代理の担当者が立てづらく、1人にかかる責任や負担も大きい。
分業制
分業制とは新規接客と結婚式までの打ち合わせを分担して担当するプランナーのこと。新規接客の技術に注力できるため、接客能力の高いプランナーが育ちやすい環境にある。
- サービスのクオリティが高い
各専門分野を極めたのスタッフでチームを組んでサービスを受けられるため、結婚式のクオリティも高まる。 - 情報共有で対応が柔軟
何らかの理由でプランナーが不在だったとしても他のスタッフに情報共有されているため、いつ何時も対応ができる。 - 多くの新郎新婦と接することができる
打ち合わせは別スタッフとなるため、新規接客に集中でき、多くの新郎新婦に携わることができる。
- 打ち合わせスタッフが見えづらい
新規担当者が良かったから契約したというおふたりにとっては、担当引継ぎ後のスタッフとの相性が掴みづらい。 - 徹底した情報共有が必要
情報共有がうまくいかない事があると、クレームに繋がる可能性がある。
ドレスコーディネーター
新郎新婦にぴったりの衣装をお見立てするファッションのスペシャリスト!
結婚式に新婦が着用するウェディングドレスを選び、コーディネートする仕事がドレスコーディネーターの役割。新郎新婦が人生で最高に輝く瞬間を、より美しく演出するためにとても重要な役割を担っており、結婚式という一生に一度の大切な記念日を支える、大きなやりがいのある職業。おふたりにとって「理想の1着」「運命の1着」を提案できれば、最高の笑顔と心のこもった「ありがとう」に出会うことができる。
専門知識で不安を解消
体型であったり容姿だったりと、様々なコンプレックスや悩みを抱えたお客様に対し、「体のラインをキレイに見せるにはどんなデザインが良いか」「コンプレックスを軽減するにはどんなドレスが良いか」など、専門的な知識と柔軟な対応が重要になる。
美的センスのたまもの
衣装に合わせるアイテム類のコーディネート、色のバランスを整える美的センスも仕事をする上で重要となる。ヘアスタイルやメイク、アクセサリー、ブーケなどトータルのコーディネート力は知識だけでなく経験からも身に付けていく必要がある。
信頼のお付き合い
ドレスコーディネーターの仕事は、安心して任せられる信頼感が重要。会場によっては親御様のモーニングや留袖などの衣装合わせも行うため、どんなご要望にも寄り添えるよう、幅広い知識が必要。
ドレスコーディネーターの就職先
路面店
独立型ウェディングドレスショップ
提携会場が決まっていないことが多く、衣装も常に新しいものが揃っている。訪れる顧客層が広いため営業能力を最も必要とされる環境。
テナント店
ホテルや専門式場の専属衣装室
衣装のサイズ展開が広く衣装の点数は多いが、古い型のものも扱っている。営業能力よりも接客スキルが求められる。
総合衣装店
百貨店などの衣装店
営業時間が決まっているため、残業が比較的少ない。
ドレス以外も扱っているため、新郎新婦の親族の衣装まで幅広く担当する。
ドレスコーディネーターの仕事
【土日業務:接客】
- 来館時のヒアリング
- ご希望に合わせた衣装のフィッティング
(サイズ採寸) - フィッティング後のコーディネート、ご説明
- 見積りのご提案
など
【平日業務:裏方】
- 挙式前の準備、セッティング、
お色直し、プレス - 挙式後の衣装処理
- 小物類の管理、手入れ
など
バンケットサービス
新郎新婦の大切なゲストへ最高のおもてなしを提供するプロフェッショナル!
列席者全員に同じタイミングでお料理をお出しする為に、細かな気配りとチームワークを重要としている仕事。バンケットサービスのスタッフは決められた時間内にすべてを終了させなければならないという責任感をもって仕事を行っている。会場内の移動がスムーズに進むよう、進行や持ち場など、スタッフ間で共有や事前準備を最も重要とする。
アシスタント
会場の進行を担当するキャプテンの右腕としてサポートする。会場全体を見渡しながら、音響や照明などの演出に関わる細かな部分にも目を光らせる重要なポジション。キャプテンの判断も俯瞰的に見られる視野が必要。
キャプテン
全体の進行状況を把握して指示を出す役割を担う。会場によってはバンケットキャプテンが、挙式・披露宴当日、一日を通して新郎・新婦に付き添う。それと同時に全体を見渡し、スタッフに指示する仕事もこなすには広い視野と観察力が必要。
サービス
料理の提供を中心としたサービスを行うスタッフ。自身の担当するテーブルのサービスに集中しつつ、料理の提供が遅いテーブルが無いか、常に四方への気配りを忘れないサービスのプロフェッショナル。
バンケットサービスのテクニック
皿の持ち方
1人で4枚の皿を運ぶことで、トレーを使わずにスピーディーに提供することができる。皿に自分の指紋がつかないよう、極力皿の平面の部分に触れないように持つ。初心者であったり女性が運ぶ場合には、安全を考慮して3枚までと決まっている会場もある。
シルバーセット
1日に数組の婚礼を行う会場では、短時間で次の婚礼に向けてのセッティングを行うことを「どんでん」という。今まで行われてきた婚礼のセッティングを片付け、短時間で次の婚礼に移行できるよう、サービスが1番最初に覚える知識がシルバーセットである。
サービススタッフの違い
役割によって変わるサービス 一覧図
セルフプロデュース
セルフプロデュースとは、自分自身を魅力的に演出すること。特に身だしなみと所作、話し方は日頃から意識をし、実行、定着する必要がある。ブライダルという商品はやり直しをすることができない価値の高いものであるため、スタッフは求められるサービスレベルが高い。高額商品を扱うエレガントさや丁寧な接客は最低限身に付けておく必要がある。これらはスキルを身に付ければ身につくものではなく、自分自身が目の前の相手を喜ばせる為に何が必要で、何ができるのか、何が足りないのかといった精神的な部分から整えていく必要がある。
ブライダル業界で求められる人物像
ブライダルに関わるお客様は新郎新婦様だけでなく、結婚式当日のゲストも含まれる。年代は0歳から年配まで、幅広いことを理解し、それぞれの世代に合わせた接客を行う必要がある。
全ての世代から好まれる接客は、大きく分けて4つある。
- 老若男女に好まれる接客
- 高額商品を取り扱うのに相応しい接客
- 飲食の場に相応しい接客
- 信頼に値する接客
理想の身だしなみ
第一印象は10秒で決まると言われている。初めて会う人物を確認し、顔を見たり挨拶したりするうちに印象は決まってしまう。その第一印象を変える為には2時間じっくりと話し、関わる時間が必要だと言われており、実に720倍の労力がかかることになる。最初から良い印象をつけてもらえれば、そのような労力は必要なくなる。
良い第一印象を持ってもらうためのポイントは大きく分けて3つあり、「身だしなみ」「表情」「声」である。特に身だしなみは一番情報を発信する効果がある。
身だしなみの基本
清潔感
ブライダルの現場は、料理に接していないプランナーでも、飲食の場であることを意識して清潔感のある服装にしなければならない
品格
ブライダルは「慶事」という非日常であることを理解しておきたい。ゲストの方も正装をされる現場であるので、それに携わるスタッフは品格のある身だしなみをする必要がある。
仕事のしやすさ
ブライダルは一見優雅で落ち着いた職場環境に見えるが、体を動かす仕事や事務作業など、多岐に渡る。どのような仕事にも妨げにならないよう、動きやすい身なりを心掛ける必要がある。
身だしなみチェックリスト
【男性編】
□服に汚れやシミ、シワなどはついていないか。
□体のサイズに合った服か。
□糸のほつれはないか。
□スーツやネクタイの色、柄は相応しいか。
□靴に汚れはついていないか。
□靴のサイズは合っているか。
□型崩れや靴底はすり減っていないか。
□髪に寝ぐせはついていないか。
□極端に顔を隠すヘアスタイルになっていないか。
□髪の色は明るすぎないか。
□髭の剃り残しはないか。
□ベルトは傷んでいないか。
□カフスなどのアクセサリーは大きすぎたり派手なものではないか。
【女性編】
□服に汚れやシミ、シワなどはついていないか。
□体のサイズに合った服か。
□糸のほつれはないか。
□露出の多い服ではないか。
□靴に汚れはついていないか。
□靴のサイズは合っているか。
□ヒールから金属が出ていないか。
□長い髪の毛はまとめているか。
□髪に寝ぐせはついていないか。
□極端に顔を隠すヘアスタイルになっていないか。
□メイクは落ち着いたものになっているか。
□ネイルは派手すぎないか。
□アクセサリーが大きすぎ、派手すぎることはないか。
所作の基本
所作でエレガントな印象を持ってもらうことにより、高級感のある接客を裏付けることができ、所作が美しいと信頼度も上がる。特にブライダルの現場では落ち着きのある空気感が求められ、その為にも美しい所作を身に付ける必要がある。
指先や背筋を伸ばす
ブライダルの仕事では、指先に視線が集まることが多々ある。打ち合わせの最中、ドレスをご案内している最中、料飲を提供する最中など、一時も気を抜けない。指先を伸ばし、揃えておくとお客様の目には丁寧な印象に写り、美しい所作として感じられる。指先だけでなく、背筋の伸びた姿も美しい所作の基本となる。日常生活には猫背の要因が多いため、日頃から背筋を伸ばす意識が必要。
手のひらを見せる
文字をなぞって説明する際、道案内をする際、指で指し示す際など、日常生活において手の甲を見せて指し示すことを自然とやってしまいがちである。お客様にご案内する際には「裏表がない」「隠し立てすることはない」ことを表現する為に、手のひらを見せて指し示すのが良いとされる。この時、指先は伸ばして揃えておくこと。
立ち姿勢
かかとは揃え、両足に均等に体重を載せる。おしりの側面に手のひらを当てる。そこから手を天井に向かって真っすぐ伸ばす。伸ばした腕をそのまま伸ばしたままゆっくり左右に下ろした姿勢が立ち姿勢の基本。その上で、女性は左手を上にして、両手を自然に体の前で重ねる。男性は指先を伸ばして体の横に付ける。
座り姿勢
ウェディングプランナーはお客様と座って打ち合わせすることが多い。座るときは、膝とつま先を揃えて、身体の正面に向ける。椅子は浅目に腰掛け、足は真っ直ぐ下ろす。この時も、立っているときと同様、背筋を伸ばし、頭の先から引っ張られているような感覚を持つと良い。
披露宴の進行
披露宴の流れは各会場やプランナーによって変わる場合もある。一般的な流れを理解していればお客様への提案、スタッフ間の打ち合わせもスムーズに行うことができるため、しっかりと把握しておく必要がある。基本的な内容を踏まえ、お客様からの問い合わせに対応できるようにしよう。
披露宴前半
挙式後、控室にてベールを外した新婦は髪型を整え、入場する。
カップルによっては入場前に「オープニングムービー」を流し、期待度を上げてから登場することもある。
ゆっくりと写真を撮られながら移動し、メインテーブルに新郎新婦が着席したら、司会者が披露宴の開始を宣言し、ゲストへのお礼を述べる。
司会者(または仲人)が新郎新婦を紹介。その流れで新郎(または新郎新婦)がウエルカムスピーチをすることも。
主賓挨拶は新郎側の主賓、新婦側の主賓の順に。主賓が登場したら新郎新婦は起立し、すすめられてから着席する。このとき親は、主賓が名前を呼ばれると同時に起立し、すすめられてから着席する。
来賓の代表がひとこと挨拶をしてから乾杯の発声をする。
新郎新婦・ゲスト全員が起立して乾杯。
ケーキカット用のナイフを新婦が持ち、新郎が手を添え、ふたりで一緒にウエディングケーキに入刀する。最近ではこの後、ファーストバイト(最初の一切れを新郎新婦が食べさせ合う演出)をすることもある。
司会者の合図でしばらく歓談と食事を楽しむ。このとき親は飲み物を持ち、ゲストにお酌しながら挨拶をして回り、感謝の気持ちを伝える。
来賓や友人のスピーチ。新郎側、新婦側が交互に、ひとり3〜5分程度の所要時間を目安に話す。
披露宴後半
先に新婦が、少し時間をおいて新郎が退場するのが一般的な進行。退場する新郎新婦を、親や家族などがエスコートする演出も最近の結婚式では増えている。新郎新婦が中座している間に、プロフィールムービーなどの映像演出を見てもらう。
お色直しをして再入場。その流れでゲストに挨拶をしながらキャンドルサービス、フォトサービスなどの演出を行う。
挙式当日届いた祝電から代表的なものを時間内で司会者が紹介。紹介する祝電は、結婚式・披露宴が始まる前に控え室などで選ぶ。バルーン型などの大きなものは、会場に飾ることも。
歌やダンスなどの余興を、新郎・新婦側1組ずつを目安に進行。
またはどちら側ということなく1組だけのケースも。
花嫁から親に宛てた手紙を読む。その流れで親のところまで移動し、記念品や花束を渡す。このとき親は下座に並んで立ち、手紙が読まれるのを聞く。その後、記念品・花束を受け取る。
両家を代表して新郎の父(または新郎、新郎父と新郎、新郎新婦などのケースも)が謝辞を述べる。最近では謝辞を述べる人物のパターンが多様化しているので、誰が謝辞を述べるのか事前に話し合う必要がある。
司会者が披露宴のお開きを告げ、新郎新婦が退場。最近は、新郎新婦の退場後に当日の映像を交えた「エンディングムービー」を上映することも。このとき親は新郎新婦の退場後、会場の外に出て並び、ゲストを見送る準備をする。
会場を出てすぐの場所に新郎新婦と両家の親が並び、一人ひとりにお礼を述べながら見送る。
演出の種類
新郎新婦の思い描く披露宴に向けて、演出の提案はマスト。中にはそれぞれの会場の設備を使った特有の演出が行われるほか、新郎新婦の予算の都合上、費用の掛かりにくい演出を提案する場面もある。プランナーとしては、会場の利益も重視しなくてはならないが、幅広い知識を持ち、新郎新婦に寄り添った提案ができることが大前提である。
披露型演出:主に新郎新婦主体で行う
キャンドルサービス・光の演出
幸せのおすそわけの意味を込めて、各テーブルを回りながら火(もしくは光)を灯していく。
真っ暗な中に光が輝き、ロマンチックな雰囲気になる。
ケーキ入刀・ファーストバイト
「将来を誓いあったふたりが、ひとつのパンを分かち合って永遠の愛を誓い合った」というギリシャ神話が由来となっている。ふたりからの幸せのおすそわけという意味を込めて、食事の後にゲストにサーブされる。食べさせあうファーストバイトの演出には意味があり、新郎から新婦への一口は「一生食べ物に困らせない」、新婦から新郎への一口は「一生美味しいお料理を作る」という誓いが込められている。
ビールサーブ
新郎がビールサーバーを担いで、入場。ゲストにお酒をつぎながら、テーブルを回っていく。新婦はスナック菓子などのおつまみを配って共に歩くのが定番。
ビールサーバーを担ぐ新郎の登場に会場は大盛り上がり。
鏡開き
木槌を使って、樽酒を開く演出。「ふたりの未来を開く」という意味が込められている。和装の披露宴で人気。樽の中身は通常お酒で、開栓後はゲストに自由に飲んでもらえるようになっている。
お酒ではなく、クラッカータイプのものもあり、ゲストにサプライズをしたい新郎新婦にお勧め。
バルーンスパーク
新郎新婦様がバルーンを割ると、中から小さなバルーンが沢山あふれる演出。
大きな音のわくわく感とバルーンの華やかさを感じることができる。
ゲスト参加型;ゲストにも手伝ってもらう演出
キャンドルリレー
テーブルにゲスト全員分のキャンドルを用意し、新郎新婦が入場したタイミングでテーブルごとの代表の人に火を灯す。代表の人から横に横にリレーをし、全員のキャンドルが灯ったら願い事をかけて炎を吹き消す。一体感のある演出で会場の雰囲気を盛り上げる。
各卓写真
新郎新婦が移動をし、各テーブルごとで写真を撮影していく。最近では、フォトプロップスを使用したりポーズを予め新郎新婦様が指定したりと、ゲストとコミュニケーションを取りながらカジュアルな雰囲気で楽しんでもらえる。
ケーキデコレーション
ウエディングケーキのフルーツをゲストにのせてもらい全員で完成させる演出。どんな仕上がりになるのか全員で楽しめ、食後に自分たちの参加したケーキを食べる際にも話題になる。会場によっては装花やチョコレートなどの準備もある。
果実酒作り
新郎新婦が大きな瓶を持ち、各テーブルを回りながらゲストにフルーツを入れてもらう。メインテーブルでお酒をそそぎ、果実酒を完成させる。婚礼1か月後に果実酒が完成するので、ゲストを新居に招待する際に、振る舞うことが可能。
デザートビュッフェ
10種類〜15種類のデザートをビュッフェ台に並べ、ゲスト全員が自由に取りに行ける演出。沢山のデザートを楽しんでもらえるので女性やお子様に人気。
新郎新婦の挙式・パーティスタイル診断
結婚式についての質問に答えるだけであなたにぴったりの結婚式タイプが判明!
診断スタート!Q1へ
診断結果発表
接客と接遇の違い
接客とは「客をもてなす」こと、接遇とは「もてなす」ことである。対象が「お客様だけ」なのか「全ての人」なのかということに違いがある。ブライダルの業界はお客様だけでなく、取引先企業やスタッフなど沢山の人物と接点を持って作りげていく職業のため、一人では完結できない仕事であるといえる。全ての人に対してもてなしの心を持つことで仕事がスムーズに進み、回りまわってお客様へのもてなしへと繋がるため、「接遇」を意識した対応が必要になる。
接客の種類
接客と期待値の関係
サービスとホスピタリティの違い
「サービス」の語源はラテン語のservus(奴隷)から派生し、servant(召使)やservis(奉仕)という言葉が生まれた。そこから現代の「他人に対する奉仕」「役に立つ」という意味になった。
「ホスピタリティ」という言葉もラテン語のhospes(客人の保護者)が語源。かつて旅人が巡礼の旅の途中に困った際、現地の人たちが旅人に愛の手を差し伸べたことに由来している。これが現代の「親切にもてなす」ことに繋がっている。
2つの言葉の語源から「サービス=奉仕」「ホスピタリティ=丁寧なもてなし」と読み解くことができる。ブライダルにおいて、必要とされているのがホスピタリティなのは、新郎新婦がゲストへの丁寧なもてなしを求めているからに他ならない。
おもてなしの意味
おもてなしは「もてなす」に丁寧語「お」を付けた言葉で、茶道から始まった文化だと言われる。語源は2つあり、1つ目は「モノごとを成し遂げる」という意味である。「客を迎えるうえで当たり前のことを丁寧に実行し、成し遂げる」ことを目指すのが茶道から始まった「おもてなし」といえる。また、2つ目の語源は「表裏なし」という言葉である。これには、表裏のない「心」でお客様を迎えるという意味がある。
ブライダルでのおもてなしは「お客様を表裏の無い心でもてなし、丁寧にすべきことを成し遂げる」ことが必要になってくる。
接遇は相手の理解から始まる
マニュアル通りの接客では、どの人にも同じように対応するのが良いとされるが、それではお客様の「感動」は生まれない。お客様が「良い思いをした」「気分が良い」と感じる接客をするためには、まず相手の理解をすることから始める必要がある。その際にWhen「いつ」、Where「どこで」、Who「誰が」、What「なにを」、Why「なぜ」、How「どのくらい」の5W1Hを把握しておくと相手の考えとの相違が少なくなる。
お辞儀の使い分け
お客様におもてなしの心を伝えるのに、一番効果的なのがお辞儀である。西洋では歴史的に立場が上の人から下の人へ頭を下げることはしないが、日本ではお互いに頭を下げることによって相手への気持ちを表す。
日本人がお辞儀をする理由は諸説あるが、仏教と共に伝えられたものだと言われる。お辞儀で頭を下げることにより「自分は相手に対して無抵抗である」という意思表現とされ、体の前で手を組むことで「相手に手出ししない」という意思表示だと言われる。その意味合いから現代でも「相手を大切にしたい」「感謝しています」「失礼しました」などの気持ちを表現する為にお辞儀は深く浸透している。
お辞儀の作法
<お辞儀の種類>
会釈
敬礼
最敬礼
基本姿勢とテクニック
分離礼・語先後礼
言葉を発してから礼をする。
最も相手への敬意を表すことができる、正式な礼。
礼三息
息を吸いながら上体を下に傾け、吐きながら保ち、吸いながら上体を起こす。相手に丁寧な印象を与えることができるほか、自身の精神状態を落ち着かせる効果もある。
残心
美しい所作の継続。
所作を終えた後も同じ姿勢を保つことにより、最後まで気を抜かない心遣いを表す。また、余韻を残すことにより、いつまでも美しい所作が継続され、良い印象を残すことができる。
ビジネスマナー
ビジネスマナーとは、仕事をする上で必要とされる礼儀作法のことを言う。ビジネスマナーは一言に挨拶やお辞儀の仕方といった基礎的なものから、ビジネスの現場で必要となる名刺の渡し方やコミュニケーションの取り方など、多岐にわたる。
ビジネスマナーはコミュニケーションの潤滑油のもので、仕事を進める上で会得しておきたい知識とスキルである。
ルールではなく、敬う気持ちの表現
ビジネスマナーには、シチュエーションにより対応方法が存在するが、それを重視するあまり「ルール」として捉えてはいけない。ルールとは規則であり、そこに思いやりの気持ちは存在しない。マナーとは相手を大切に思う“気持ち”を体現したものであり、ビジネスマナーは仕事相手に敬い思いやりをもって接することである。
礼儀とマナー
礼儀の「礼」には「敬う」という意味がある。「儀」には「形の整った作法」という意味がある。つまり礼儀とは「敬う気持ちを美しく表現する作法」ということである。マナーはイギリスの大地主が小さな土地を持つ領主を相手に振舞っていた博愛精神が手本とされている。相手を大切にし、敬う心遣いを表現したものが礼儀やマナーである。
ビジネスマナーが必要な理由
年齢・性別・経験・価値観の異なる環境で、共通して持つ一つの指標がビジネスマナーである。ビジネスマナーを身に着けていることによって、共通の認識を持てる相手であるという信頼関係を築くことができる。
たった一人の行動から、組織全体のイメージを変えてしまう程の影響力がある。自身の所属する組織を知らない人物から見たら、自分は組織の代表として捉えられているため、責任感のある行動が必要となる。
例)受付を訪れたときの反応の違い
お客様は会場の利便性や雰囲気、ドレスなどの「モノ」を気に入って契約するが、単純に「モノ」だけを気に入っているのではない。「モノ」を売っているスタッフがビジネスマナーを心得ておらず、不愛想で、挨拶もできないようなスタッフであれば、契約には至らない。お客様が会場もスタッフも気に入った状態で結婚式を挙げることが、顧客満足度のアップへと繋がるのである。
仕事に対する責任と基本姿勢
労働者は労働力を提供し、企業の利益に貢献することにより給与を手に入れている。そこに賃金が発生しているからには、それに見合う責任をもって働かなくではならない。
会社には1人でできる仕事はなく、必ず組織のメンバーが存在する。組織の一員として仕事を進めるには、組織全体のことを頭に入れて動き、自分に与えられた役割を果たすことが重要。その為に、メンバーと協調し、メンバーを巻き込みながら成果を上げ、自分たちの喜びとすることが大切。
会社での評価は結果で決まるといっても過言ではない。当たり前のことを当たり前にできるようになることが肝心。そこから、新しい結果を生み出していき、人がやっていない仕事であったり誰も達成していない結果に繋げることにより、自分のみならず周囲の結果を上げることにも繋がる。
仕事の結果は最終的に利益として表れ、会社は利益を上げてこそ存続できる。自分自身がした仕事に価値を持たせるためにも、利益を上げることを常に意識する必要がある。
会社は社会の一員でもある。自分の勤める会社が社会から好意をもって迎えられるには、製品やサービスも重要なのはもちろん、働く社員一人ひとりが会社の代表として周囲と関わっていく必要がある。
仕事に対する8つの意識
顧客意識
接客において「お客様の要望をすべて聞かなければならない」と捉える人もいるが、「お客様の事を考える」という意識を持つ事が大切。お客様のニーズを把握し、役立つ商品やサービスを提供し、お客様の抱える問題を解決し満足に導くことが顧客意識である。
納期意識
商品やサービスはできるだけ早く、完璧なものを届けることが要求される。どんな仕事でも必ず期限を確認し、逆算してスケジュールを立てる必要がある。期限ギリギリに間に合わせるのではなく、余裕時間を見込んだ仕事の進め方が個人と会社の信用を築く。
目標意識
目標には種類があり、「組織としての目標」「個人としての目標」「長期・中期・短期目標」などがある。目標を持つことにより、「今自分が何をすべきか」が明確になり、具体的な行動に繋げることが可能になる。毎日の達成度も把握でき、仕事に張り合いも感じられる。
コスト意識
多くの売上を上げても、費用がそれ以上にかかってしまうと意味がない。人件費・設備費・仕入費など、全て必要な経費だが、利益を圧迫するコストにもなる。事務用品を大切に使うなど、身近なところからコストを意識した行動をすることが求められる。
品質意識
仕事には、商品にもサービスにも必ず要求されている条件がある。その条件を理解し確実に満たした上で、それ以上のクオリティを求めていくことが望まれる。
協調意識
組織の一員として協力して1つの仕事を成し遂げる意識が大切。自分の間違いは素直に認め、仲間の間違いがあれば率直に指摘する、意見の交換が必要である。全体の目標を理解し、それを目指して積極的に協力して自分の役割を果たすことが大切である。
改善意識
自分を客観的に見るのは難しいが、常に今の状態を当たり前に捉えるのではなく、何か問題がないか意識し、「ムダ・ムラ・ムリ」を取り除こうとする姿勢が大切。そして、それを改善してより良い仕事の仕方を見つけていくことが重要。
時間意識
時間もコストであるという認識が必要。限られた時間を有効に使い、価値を生まない時間がないか、考える必要がある。例えば、「待ち時間」「ミスをやり直す」などは不必要な時間と捉えられる。時間を意識することが業務効率の向上に繋がる。
ビジネスマナー実例
出社 10:00~
出社、メールチェック
始業時間には仕事に取り掛かれる状態にすることが基本。お客様は休日や夜に動かれる方が多い為、朝は必ずメールチェックをする。日中も適宜にメールをチェックし、すぐに返信をするよう習慣づける。
朝礼
元気に明るく挨拶をし、会社の雰囲気づくりに貢献。部署もしくは社内で情報共有をしっかり行う。
新規接客 10:30~
新規接客:お出迎え
お客様の顔を見て、笑顔で「いらっしゃいませ」「おはようございます」「お待ちいたしておりました」などの挨拶でお出迎えする。そのままお席へご案内する。
◇座席の上座・下座についての理解
- 入口のドアから遠い、奥の方が上座になる。
- ソファと肘掛け椅子であれば、ソファを勧める。
- 他のお客様と視線や声が重ならないよう、お客様同士を離した席にご案内する。
◇座る位置
- 女性プランナーは新婦様側、
男性プランナーは新郎様側の前に座る。
◇名刺を渡す
- 名刺は常に10枚~20枚携行しておく。
- 新郎新婦様それぞれへ名刺を渡す。
- 指で文字を隠さないように両手で持ち、「○○(会場名)、プランナーの△△と申します」と名乗り、軽く頭を下げて渡す。
◇接客時に気を付けること
- 話しやすい雰囲気づくりを心掛ける。
- 世間話や雑談の際に、自慢話、悪口、噂話、政治や 宗教・思想の話は避ける。
- 視線は相手の目元、胸元へと外す。
- メモを取りながら話を聞く。
- 軽率な受け答えは絶対にしない。
◇館内案内
- お客様に中央を歩かせ、プランナーは2~3歩(1m程度)前の右寄りを歩く。
- エレベーターに乗るときは自分が先に乗り込み『開』ボタンを押し、お客様を載せる。
- 降りるときはお客様を先に下ろす。(エレベータの中でお客様だけにしない)
- 階段では上りはお客様が先に、下りは自分が先を 歩き、お客様に手すり側を歩いて頂く。
新規接客:お見送り
玄関外まで見送りをするのが基本。お客様が見えなくなるまで見送る。エレベータまでの案内の際は挨拶をした後、エレベータが下階へ下りたのを確認するまで見送る。
休憩時間 13:30~
仕事から離れて、リフレッシュする時間。勝手なことをしてもよい時間ではなく、会社が定める服務規程の規制のもとにあることを忘れずに行動する。
企業訪問 14:30~
必ず事前にアポイントメントを取る。訪問の目的、日時などを先方の都合を聞き、希望も伝えて調整する。
◇事前準備
- パンフレットやブライダルフェアの案内など必要な 部数を確認し、多めに用意する。
◇担当者との名刺交換
- 名刺は相手本人と思って大切に扱う。
- 目下の人、面会を求めた側が先に出すのが マナー。
- 相手の名刺は両手で持つのが基本。
- 同時に名刺交換する際は、まず挨拶をしてお互いに名乗る。その後、自分の名刺を右手で差出し、左手で相手の名刺を支える。名刺を渡し終えた右手を頂いた名刺に添え、名刺の内容を確認する。
◇移動
- 出発の際には必ず上司に報告をする。
- 行先、帰社時刻の目安を部署内に共有して出発する。
- 移動時間中も勤務時間ということを忘れず行動する。
帰社
訪問が終了した際は速やかに上司に連絡。報告事項があれば報告し、帰社する。
事務作業 16:30~
- ビジネス文書の種類は社内文書と社外文書に分かれる。どちらも事実を正確に記すことが求められる。社内文書には報告書、日報、休暇届、申請書、始末書、回覧、議事録などがある。
- 社外文書の種類:案内、請求、お詫びなど。
- メール文は書面よりも簡略に記す。
- 書面、メールどちらを選ぶかは、状況などにより 変わるので適宜選択。
◇執務中の態度や行動
- 離席の際は周囲に行先、用件、戻る時間を伝え、重要書類は片付けてから席を立つ。
- 仕事中の人に話しかける際は「今少しよろしいでしょうか」と声をかけてから話す。
- 不在中に予想される仕事や用件には、あらかじめ手を打っておく。
- 軽率な噂話や人の悪口は言わない。
◇職場での人間関係
- 上司や先輩には敬意を払って接する。個人的な好き嫌いの感情は持ち込まず、相手を立てる という気持ちをもって接する。
- 同僚とは仕事中は礼儀正しく接し、良きライバルとして切磋琢磨する。金銭の貸し借りは職場内 では行わないのがベター。
◇報告・連絡・相談(ほうれんそう)
社内やお客様とのコミュニケーションを円滑にするために必要不可欠な情報共有。
- 「報告」・・・上司の指示や命令に対して、部下が 経過や結果を知らせること。部下から上司・後輩 から先輩、という流れ。
- 「連絡」・・・簡単な情報を関係者に知らせること。 連絡に自分の意見や憶測は不要。上司や部下に 関わらず、誰もが発信側・受信側になりえる。
- 「相談」・・・判断に迷う時や、意見を聞いて もらいたい時などに上司や先輩、同僚に参考意見 を聞き、アドバイスをもらうこと。
退社 19:00~
上司からの指示・命令の受け方
呼ばれたら「はい」と返事をし、メモと筆記用具を持ち聞く姿勢を示し、以下の内容に注意する。
- 内容を正確に聞き取る
- 指示、命令が重なった時は優先順位を確認する。
- 最後まで聞いて復唱する。
- 復唱した後、不明点を質問する。
会話のキャッチボール
会話をスムーズに続けることをキャッチボールに例えることがあるが、なかなかキャッチボールが続かないことに悩む人も多い。コミュニケーションにおいて、キャッチボールを続けることが大切である。
会話のキャッチボール構図
聞く
話を聞かないことには会話が成立しない。聞かずに一方通行の話をすることはキャッチボールではなく、言葉の投げつけに他ならない。まずはしっかりと何の話をしているのか把握する必要がある。
認める
話を認めてもらえないと、話し手は受け止めてもらったかどうかわからず、話を進めることができない。認めるということは相手が投げかけた内容が、自分の捉えた内容と合っているかの確認でもある。
返答する
話を聞き、投げてくれたのはどんな球だったのか、色や形、大きさなどを確認しながら相手が投げたボールと自分が受け取ったボールが同じものであることを確認する。それに合わせ、同じボールを選んで投げ返していくのが、会話のキャッチボールである。
会話のテクニック
テクニック1:オウム返し
簡単に取り入れられるスキルとして、「オウム返し」と呼ばれるテクニックがある。動物のオウムと同じように、相手が言ったことと同じ言葉を返す。それにより、話し手は自分の発した言葉を相手が受け取ったことを確認できる。
例文)
A「今日朝ごはんにパンとスープを食べてきました」
B「パンとスープが朝ごはんだったんですね」
テクニック2:要約
オウム返しの次のステップとして、「要約」というものがある。要約は言葉の通り、話し手の話を聞いた上、まとめて言い換えることである。それをすることにより、話し手が自分の発した言葉が相手に正確に伝わっていて、尚且つ理解してくれているかを確認することができる。
例文)
A「昨日は天気が良かったので、バーベキューをして
アスレチックで体を動かしてきました」
B「昨日はアウトドアを楽しんだんですね」
テクニック3:共感
会話の中で話し手の気持ちを理解するときに特に効果的な方法が「共感」のテクニックである。相手が発したことに理解を示す態度で表すことにより、相手の話を引き出す効果もある。また、言いにくい内容に共感を示すことで安心して話を進めることができる。
例文)
A「実は最近眠れなくて困っているんです」
B「最近眠れないんですね。私もたまにありますけど、
困りますよね」
テクニック4:自己開示
共感に近しいテクニックとして、自己開示がある。自己開示は「実は私も…」と発すると、相手の話を認めた上で同意することができるため、相手を認める効果がある。ポジティブな内容であれば、それを機に内容が盛り上がり、ネガティブな内容なら話し手に安心感を与えることができる。
例文)
A「最近携帯を変えたんですよ」
B「そうなんですね。実は私も機種変更したところなんです」
A「実はこのところ、食べ過ぎて体重が増えたのが気に
なっているんです」
B「そうなんですか。実はわたしも最近体重が増えて気に
しているんです」
返答の際に気を付けること
会話のキャッチができたら、内容に合わせて返答をする必要がある。どんなボールを受け取ったか確認したのに、急に違う大きさや色、形のボールが返ってきたら、「私の投げていたボールと違う!!」ということになりかねない。話が逸れてしまったり、何かしら違和感を覚える会話になる。
NG例) A「昨日飲みすぎて、今日は二日酔いなんですよ」
B「二日酔いなんですね。今日は電車で来たんですか?」→移動手段へ繋がるのがチグハグな印象
OK例) A「昨日飲みすぎて、今日は二日酔いなんですよ」
B「二日酔いなんですね。早く治まるといいですね」→会話の流れに合った返答ができている
会話を広げる質問
会話のキャッチボールが苦手な人の中には、基本のテクニックができていても会話が広がらない人が多い。会話が広がらない原因は、会話を広げる方法が分からないことや、なぜ会話が広がらないのか理解していないためである。要因の一つとして相手に話の進行を任せていることが関係しており、受け身の会話になることから会話を広げる「質問」ができていないと考えられる。
質問テクニック1 クローズドクエスチョン
相手が「はい、いいえ」または「AかBか」で答えられるような、回答範囲を限定した質問の方法。
例)「山登りは好きですか?」、「山と海、どちらが好きですか?」
- 初対面の人との会話に向く
- 相手の同意を得ながら話を進められる
- 相手から明確な返事を得られやすい
- 話題をコントロールすることができる
- 質問が続くと尋問のような圧迫感が生まれる
- 会話が広がりにくい
質問テクニック2 オープンクエスチョン
相手が「どう思うか?」などのように、制約を設けずに自由に答えさせるような質問の方法。
例)「どうして山登りが好きなんですか?」
- 相手に自由に発言してもらえる
- 会話を広げ、幅を持たせることができる
- 相手の考えを深めることができる
- 相手に新たな気づきを与えることができる
- 答えを得るまでに時間がかかることがある
- 思いがけない答えが返ってくる可能性がある
- 相手にとって答えにくく、負担になることがある
- 初対面の場合は、詮索と捉えられる可能性がある
質問テクニック3 サンプルクエスチョン
質問したい内容に対して、相手を想像した答えを加えて質問を投げかける質問の方法
例)「山登りが好きなのは綺麗な景色が見られるからですか?」
- オープンクエスチョンよりも答えやすい
- 相手の情報を得られやすい
- 得られる情報量が多い
- 質問者の考えも伝えられる
- 質問内容を考えるのが難しい
- 相手により会話が広がらないことがある
- 初対面の場合は、詮索と捉えられる可能性がある
質問の方向性
質問方法を活用し、質問する段階と方向性を決めると質問しやすくなる。沈黙に至る前にある程度質問の幅を決めておく事が大切である。質問の内容は相手に気持ちよく話してもらえるよう、関係性に応じて変える必要がある。
質問のステップと関係性
質問ステップ1 初対面、もしくは挨拶程度の関係性の場合
あまり信頼関係が築けていない段階であれば、パーソナルな質問をするよりも一般的な質問をする方が、相手は受け取りやすい。
NG例)「初めまして。本日はご足労ありがとうございます。どちらにお住まいなんですか?」
OK例)「初めまして。本日はご足労ありがとうございます。本日は電車でいらしたんですか?」
質問ステップ2 数回程度面識があり、信頼関係が築け始めている関係性の場合
信頼関係を築き始めている段階では、相手の生活水準や話しにくいような、込み入った内容になりすぎない程度の質問を心掛ける。
NG例)「私は年収〇〇〇万ぐらいですが、あなたは?」
OK例)「私はA型なんですが、あなたは何型?」
質問ステップ3 信頼関係が築けている関係性の場合
信頼関係が築けているため、ある程度パーソナルな質問をしても差し支えない。相手が気持ちよく話してくれるよう、相手に興味をもって掘り下げる質問が効果的である。
NG例)「普段は電車移動が多いって聞いたけど、何線に乗ることが多いの?」
OK例)「趣味は映画観賞って言ってたけど、どんな映画が好きなの?」
質問の方向性のまとめ
上記のように相手との関係性によって質問の方向性を変えることで、相手に寄り添った質問になるため相手も答えやすく、自身も会話のキャッチボールを続けやすくなる。また会話を広げることにより、相手の情報を得やすくなるため、好みを知ることができたり相手の嫌がることが分かったりと、接客をする上で参考になることが増える。お客様の考えは会話の至る所に隠れているため、聞き出した内容はしっかりと覚えて今後の接客に繋げていく必要がある。
新規接客
新規接客の流れ
初めて来館されたおふたりを「新規」または「新規顧客」と呼び、新規接客は初対面で行う接客のこと。各会場のプランナーは初めて来館されたおふたりに会場の魅力とスタッフ(自身)の魅力を伝え、納得してご成約して頂けるように日々尽力している。
おふたりがご来館!相談用のお席へご案内
来館したおふたりをご案内する席は、他のカップルの相談席と共通スペースに設けられている会場が多い。
接客者によって席が決まっていたり、カップル同士の相談内容が聞こえないよう、混み合う前は離れた席へ案内するなどの考慮が必要となる。名前と席を取り違えないよう注意が必要。
会場によってはおふたりにお飲み物を伺い、お持ちする。
おふたりにとって式場の第一印象となる
ご案内者と接客者が違う場合もあるが、おふたりの見学は既に始まっている。気を抜かずに、しっかりとご案内すること。
着席までの間におふたりから見聞きした情報にも接客に役立つ重要な内容が含まれている!
おふたりを知るためのアンケートのご記入
ご案内の段階でアンケートの記入を促す。担当者がご挨拶に入る前に回収するタイプと、担当者の挨拶の際にお預かりするタイプ、電子版で入力情報がスタッフルームに転送されるタイプなどの種類がある。おふたりの連絡先など、今後のアプローチに必要な項目はしっかりと記入して頂けるように促す必要がある。
おふたりの大切な情報が満載!
アンケートには会場を選ぶ基準・ご来館理由・結婚式の人数・希望の時期など、接客を進める上で重要な情報が詰まっている。
お客様の中には記入を敬遠される方、一部しか記入しない方もいらっしゃるため、押しつけにならない程度に記入して頂けるよう促す必要がある。
※最低限の記入事項として、「お名前と連絡先」は記入して頂きたいところ。
おふたりを担当するスタッフよりご挨拶
名刺をお渡ししてご挨拶をする。STEP1同様、第一印象を大切に笑顔でハキハキと話すことを心掛ける。
初めてのことで緊張されているおふたりも多いため、自己紹介や雑談を通して場の空気をほぐしていく。
館内の案内に移る前に、アンケートを通しておふたりの結婚式に対するご希望や不安点を確認していく。
緊張をほぐし、ふたりとの距離を縮める第一段階
緊張をほぐすための時間を「アイスブレイク」という。おふたりと打ち解けるための時間を作ることで、接客者としての信頼関係(ラポール)が構築でき、おふたりの要望をスムーズに伺うことができる。
接客第一声の一例
「この度は誠におめでとうございます。〝おめでとう”と
言われることには慣れましたか?」
「おめでとうございます!ご入籍はこれからですか?」
「会場の場所はすぐに分かりましたか?」 など
挙式会場や控室、パーティ会場のご案内
会場の良さを案内するだけではなく、出来る限り当日をイメージして頂けるようなご案内が重要。おふたりのイメージに合わせた提案を心掛け、わかりやすい言葉で伝えることを意識する。極力当日の流れに沿った経路で会場を回り、その場その場でイメージ写真などを用いると効果的。
この会場で結婚式を挙げるイメージを持ってもらう
結婚式の当事者となることは人生で何度もあるものではない。列席としての経験が豊富でも、当事者としての目線を知らない人がほとんど。当日の導線や列席者とは違う目線を伝えて、より鮮明なイメージを持ってもらうことが重要。
どの会場でも「会場の魅力」は当然アピールしている。その魅力が「おふたりにとっての魅力」であることと、「この会場だからこそ得られる魅力」であることが重要。その2つのポイントが揃うと何よりも強い魅力となる。
新郎新婦が会場で知りたいポイント
館内案内に出ると、様々なポイントで質問が飛んでくる。思いもよらないことを聞かれても、会場内で答えられるように、徹底して知識を広げておく必要がある。
下図を参考に、新郎新婦の目線で気になるポイントとプランナーの目線で伝えておきたいポイントを考えてみよう。
館内案内 ーパーティ会場編ー
新規接客の流れ2
館内案内が終わったら、新規接客も終盤。おふたりの中で引っかかるポイントが無いか確認しながら、見積りや日程など現実味のある話へと移行していく。会場やスタッフへの価値の理解度が上がると、提示する見積りや空き状況への納得感が大きく上がる。
実際に体感!模擬挙式や試食会
会場を一通り見学頂いたら、実際に体感できるイベントへご案内。会場によって実際の挙式の流れを見られる模擬挙式や、当日をイメージできる料理の試食会を用意している。五感を使って体験して頂くことで、会場への理解度を高めて頂く狙いがある。
おふたりにとっては休憩時間も兼ねる
長時間接してきたプランナーと離れるタイミングは、おふたりの本音が出やすいポイント。接客をバトンタッチするサービススタッフからおふたりの様子や反応を確認してもらうことも1つの手。
このタイミングで日程や見積りを作る会場もある。
お見積りやご日程のご案内とご提案
会場やスタッフへの理解を深めて頂いたところで、現実味のある内容へ。館内案内でヒアリングした内容を踏まえ、見積りや日程の絞り込みを行い、ご案内する。館内で楽しい雰囲気を作ってきた分、少し落ち着いた声色でお話しすることでメリハリが出て、おふたりも集中しやすくなる。
金額だけではなく、価値を伝える
見積りの中には何が入っていていくらなのか、おふたりの希望の結婚式を行うには何が必要なのかをしっかりと説明する必要がある。不明な点が残っていると他会場と見比べられた際に、人数に対する総額のみで判断されかねない。安さや値引きの大きさを打ち出すことも1つの手法だが、各項目における価値をしっかり伝えられていると、比較されても強い信頼へとつながる。
日程はほとんどの場合全ての空き状況を案内しているのではなく、時期や日柄、時間帯などおふたりの要望に合わせて誘導している。
クロージングとご成約
自身のご案内状況からみて、「当日ご成約」「仮予約」「仮予約なしでお帰り」「再来館を取り付ける」など、接客の着地点を見極める。その上で自身の導きたい着地点へ誘導・後押しし、締めくくることをクロージングという。クロージングを行って新郎新婦から成約を頂くことで、はじめて打ち合わせなどの準備が始まる。
クロージングを行う意味
クロージングせずに、相手の返答や決断を「後日」や「後ほど改めて」などと先延ばしにすることで、リスクが出てくる。
♦返事を先延ばしするリスク
- 後から考えを整理することで決断に対して消極的になる
- リサーチしたり他人に意見を求めたりして考えが変わる
せっかく「決めよう」という気持ちが高まったとしても、先延ばしにすることで悪い意味で冷静になってしまい、契約が取りにくくなってしまう。
これまでの接客を振り返り接客の到達点を目指す
おふたりが最も大事にしているポイントはどこか?
- 予算:明確な上限が決まっているのか?
金額に見合うサービスであれば納得するのか? - 日程:指定日があるか?
日柄や時間を重視しているか? - 会場:イメージに合っているか?
魅力を感じているか? - 施設:挙式場のイメージは合っているか?
バリアフリーやアクセスを気にしているか? - 料理:味やオリジナリティ、試食してみて納得したか?
おふたりが感じていることを想像する
- ・どこを一番気に入っているか?
- ・不安、不満、不快な点はどこか?
他社と比較して考えてみる
- 見学済みの会場はどこか、何を気に入っているか?
- 検討会場の中で自社は何番目になっているか?
- 仮押さえをしているか?
- 今後の見学予定はあるか?
クロージングの考え方
クロージングとは本来、いたってシンプルなもの。「決めますか?決めませんか?」と選択肢を与えて、「今決めてください」とお客様の背中を押すこと。全く決めるつもりがない方へ「決めてください!」と無理強いすることではない。
競合会場の研究
新規接客のご案内では、自社の会場の良さを把握するだけでなく競合する会場と比較し、どのような違いがあるのか把握しておく必要がある。比較した内容をご案内に使用する際には、競合会場のことを中傷するような表現は極力避けなければならない。どの会場も、おふたりが良さを感じて選んでいることを念頭におき、接客に臨む必要がある。
競合会場の把握
自らの接客経験から競合会場を把握することも大切だが、会場内のプランナーの競合先をピックアップし、全体のデータとして把握することが重要。競合会場は常に同一なのではなく、時期やニーズによって変動するため、日々アンテナを張り巡らせておくこと。自社データ以外にもエージェントへのリサーチも効果的。
新郎新婦の目線で体感する
プランナーとして駆け出しの時期は競合会場にも顔が知られていないため、各会場を見学して回るプランナーも多い。自身が新郎新婦の目線となり、競合先でどのような魅力に惹かれたのか把握し、自社と比べた際にどの点で対抗できるのか想定しておく。否定的な視点よりも肯定的な視点を持つことで、新郎新婦の目線に近づけることができる。
中傷しないセールストーク
新郎新婦のおふたりは膨大な会場の中から数社をピックアップし、見学に来ている。それぞれの会場に良さを感じ、それらの中からおふたりに最も見合う会場を見つけられるように判断材料を提供する心持ちで、他社との違いや自社の強みを伝えていかなくてはならない。他会場を中傷することは、新郎新婦が会場選びに費やした時間とそこで得た好感を否定することと同等だと意識しなくてはならない。
中傷せずに比較するってどういうこと?
中傷という行為には特定の相手がいる。中傷せずに比較を用いるには相手の固有名詞を出さずに、おふたりの中にある会場を連想させ、自ら比較してもらえるように誘導すると効果的。そのためには、事前におふたりがどの会場と並行で見学を進めているのかを確認し、自分の中で違いを比較できるよう、他会場の情報を頭に入れておく必要がある。